ドライアイに対するカフェインの医療的効果を確認
仕事に疲れたらホッと一息、コービーブレイクでリラックスすると気分転換になる。一杯のコーヒーは、休憩後の仕事への活力にもなるが、実は
ドライアイの改善にも役立つことがわかった。
東京大学医学部の有田玲子氏らの研究グループが2月14日、Ophthalmology誌電子版に発表した研究報告によると、
カフェインの摂取が涙液の生産力を高めるという。
有田氏は、カフェインには唾液や消化液などの分泌を増加させる働きがあるため、涙腺を刺激し涙液も増やす効果があるのではないかと推察した。
カフェインと偽薬の錠剤摂取で涙液の増加利用を測定
そこで、78人を2つのグループに分けてカフェイン摂取の実験を行った。一方のグループにはカフェインの錠剤を、もう一方にはニセの錠剤を与えて摂取してもらった。後日、カフェインと偽薬を入れ替えて、同じように実験を行った。
その結果すべての被験者に、カフェインを摂取した後の涙の生産量の増加が確認された。錠剤摂取後に涙液量を測定したところ、涙液メニスカス(角膜とまぶたの間にたまった涙の高さ)が
平均で0.08ミリ高くなるという結果が得られたのだ。
カフェインに対する刺激反応は人によって異なる。このため、被験者のDNAサンプルから、カフェイン代謝に大きな関わりを持つ遺伝子の変異(ADORA2AとCYP1A2)の有無も調べた。すると、カフェイン代謝に影響する特定の遺伝子変異をもつ人々には、特に効果が大きく現れることが判明した。
「Science Daily」4月17日付の記事によると、有田玲子氏は
他の研究でも確認する必要がありますが、今回の実験結果はドライアイ症候群の治療に効果が期待できる
としており、
ただし現時点では、カフェインの刺激効果に感受性の高い患者に対して選択的にカフェインの摂取を勧めることになるでしょう
と語っている。
Caffeine use may offer relief for millions of dry eye sufferers
http://www.sciencedaily.com/releases/2012/04/Ophthalmology/ScienceDirect.com
http://www.sciencedirect.com/science/article