形だけの36協定で働かせ放題?!
女性社員の自殺が労災に認定されたワタミフードサービスを取材した東京新聞は5月17日 、同社が労働基準法を守らずに従業員に時間外労働をさせていたと報じた。
労働基準法で時間外労働は禁じられているが、労使間で協定を結べば認められる。協定には労働組合か
労働者の過半数を代表する者と経営者側が協定で時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出をしなければならない。
この労使協定を「時間外労働協定」というが、労働基準法第36条で定められていることから、「
36(サブロク)協定」の名で知られている。
この手続が和民では形骸化しており、従業員は経営者側の言いなりに長時間労働を強いられている実態が明らかになった。東京新聞によると
厚生労働省労働基準局監督課は、ワタミフードサービスが
適正なやり方とは言えず、労基法に抵触する
と指摘している。
(画像:Amazon)店長がアルバイトから代表者を決める
ワタミフードサービスは毎年、全国に五百以上ある全チェーン店で36協定を結んでいる。同社には労働組合が存在しないので、協定を結ぶためには、
店舗ごとの従業員の過半数の推薦を受けた代表との話し合いで合意がなければならない。
親会社であるワタミの法令順守部門のグループ長は
店長がアルバイトの中から代表を指名し、協定届に署名させている(東京新聞より引用)
と36協定は形だけで、行われていないも同然だったことを認めた。
自殺した女性従業員が働いていた店舗では、当時、月120時間まで時間外労働を認める36協定が結ばれていたが、神奈川労働者災害補償保険審査官によると、月の時間外労働時間は
約140時間に及んだという。厚生労働省では時間外労働が
80時間に達すると、過労死の危険が強まると警告している。
命がけの反省はどこへ?
ワタミの取締役会長である渡邉美樹氏は2月24日、女性従業員の死が労災に認定されたことを受けて、Twitterで
縁あって、ワタミの思いに、共鳴してくれて入社してくれた一人の社員を守れなかったのは、事実。命懸けの反省をしなければならない。彼女に、心からお詫びをしなくてはならないと考えるに至りました。もう一歩、寄り添うことが、出来ていれば…一層の法令遵守 社員に寄り添う会社づくりを 約束します
と語った。
ワタミフードサービスは今回の36協定の形骸化について、
次回の36協定の更新時から適正な手続きに改めると回答しているが、従業員の健康のために速やかな対応を祈るばかりだ。渡邉美樹氏の命がけの反省も、すでに形骸化してしまったのだろうか。
東京新聞(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news渡邉美樹Twitter
https://twitter.com/#!/watanabe_miki