フィヨルドの氷も溶けた
グリーンランドを覆う
氷が、たった数日でほとんど溶けてしまうという事態が起こった。これは衛星による観測データからわかったもので7月24日、米航空宇宙局(NASA)が発表した。
それによると7月8日、衛星による観測データでは、グリーンランドの氷床のおよそ40%が溶けていることを示していた。これは例年の平均融解率50%をやや下回る数字で、異常は認められなかった。
しかしそのわずか4日後の7月12日、氷床の厚みが3kmに及ぶフィヨルド地帯も含めて、
ほぼ全域(97%)で溶け始めていることがわかった。
(画像:NASAホームページ)
熱のドームに覆われたグリーンランド
グリーンランドは、北極海と北大西洋の間に位置する世界最大の島。土地の約80%以上が氷床と万年雪に覆われる氷の島だ。
しかし今年5月末から、NASAが「
熱のドーム」と名付けた高気圧がグリーンランド全体を覆っており、今回の急激な融解もこの温かい空気が原因だと考えられる。
高気圧帯は7月16日には消えはじめたが、その時点でグリーンランドの中央、海抜が最も高いSummit Stationの氷床も溶け出していた。
この高気圧が温暖化によるものなのかどうかは、まだわかっていない。NASAの研究チームが氷床深部のデータを解析した結果、今回と同様の
大規模な融解は1889年にも起こっていることがわかった。
Summitの氷床コアから、この種の融解現象は平均して150年周期で起こっていることがわかっている。前回の融解が1889年だったことを考えると、今回の融解はちょうど周期通りだ(WIRED.jpより引用)
と、NASA研究チームのメンバーであるローラ・ケーニグは解説している。しかし今後もこの現象が続くようであれば、事態は深刻だ。
NASA
http://www.nasa.gov/topics/earth/features/greenlWIRED.jp
http://wired.jp/2012/07/26/greenland